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■旅行記

中国新疆ウイグル自治区旅行記

2011年11月4日(金) 第三日目 新疆ウイグル自治区博物館、二道橋市場、国際バザール、など

 昨日とは違って今日は体調が回復したので、朝からウルムチ観光に出かけることにした。 天池に行くには一日時間を取らないといけないのだが、今回の旅のメインはカシュガルとタシュクルガン方面を探索することだったので、ウルムチにフル滞在できるのは昨日と今日の2日しかない。 こうした事情から、今日は天池には行かずに、ウルムチ市内にある新疆ウイグル自治区博物館と二道橋市場にある国際バザールを散策することにした。

 タクシーでホテルから博物館まで移動し、見学することにした。入場料は何故か無料。

 展示品には、中国の辺境部分に住む少数民族に関する民俗品や文物が多かった。 展示を見ていると、中国にはかなりの少数民族が住んでおり、新疆ウイグル自治区にはかなり中央アジア方面から来ている民族が多いかがわかる。 また、古代の彫像を見ていると、彫りの深い顔立ちの男性がラクダをひいていたり、楽器を奏でているものが多い。 これらはいわゆる中国の西方から来た胡人の彫像だと思うのだが、胡人の中には西方から来たトルコ人、ペルシャ人、アラブ人等、色々な人種が含まれるのだろうと思う。 アフガニスタンに居ると分からないことではあるが、実際に中国側に来てみるとパミール高原が西側の限界という意識が生まれてくる。 聖域の限界地点はパミール高原のこちら側で、それよりもあちら側は昔の中国人の意識の中では漠然と「向こう側」と考えられていたのではないかという気がする。 そう考えると、胡人の中にはひょっとするとパシュトゥー人も含まれていたかもしれない。 虚空を見つめる髭を蓄えた彫りの深い男性の彫刻を見ながら、そんなことを思った。

museum
↑新疆ウイグル自治区博物館。ウルムチの市内観光では是非見ておきたい場所だ。

showcase
↑入口にある新疆ウイグル自治区の地図に書いてあった「アフガニスタン」の文字。1文字目の「アレフ」の形と、二文字目が「フェー」ではなく「ベー」なのはダリ語と違うが、他はほぼ同じだ。中国語では「阿富汗」なのか?

mummy
↑博物館に展示されているミイラ。目玉の一つらしい。

exhibition
↑説明文書は全て3言語(中国語、英語、ウイグル語)で書かれている。ウイグル語のアルファベットはアラビア文字を使用している。

racial
↑昔、中国には少数民族を含めると56の民族がいると本で読んだことがあるが、中央アジアから来たキルギス、カザフ、タジク、ウズベクなども相当いるようだ。

western
↑展示されていた中国の西方から来た人間の顔。

western2
↑いわゆる胡人の隊商の像。彼らは、トルコ人かペルシャ人かアラブ人かわからないが、ひょっとするとパシュトゥー人である可能性もあるだろう。

 博物館の最上階には「永遠和祖国在一起」という、極めて政治的な展示物が並んでいた。 民族が違っても中国の為に一致団結しましょう、というメッセージが随所に見られた。 多民族国家を運営していく上で、国家主義を浸透させることは重要だ。 アフガニスタンで生まれたタジク人、中国で生まれたタジク人、そしてタジキスタンで生まれたタジク人の間に、それぞれ異なった帰属意識があるとすればそれは国家による教育によって植え付けられたものだと言えるだろう。 そうした帰属意識やアイデンティティーというものは近代の国民国家を形成する上で重要なものだ。 それでは、アフガニスタンではこうした意識はしっかりと備わっているだろうか。 90年代の内戦時代には異なる民族間の殺し合いが始まり、新しい政権が出来てからまだ10年程しか経過していない現状では、素直にイエスとは言えないだろう。 近代国家の前提となるもの。そうしたものをアフガニスタンは徐々に備えていかなければいけない。

 国家とは何か。色々な定義はあるが、マックス・ウェーバーは「国家は暴力装置である」と言っている。 この定義には説得力がある。産業社会以前の農業社会では、領主と農民の間の封建的関係というものが国家の束縛よりも強かったはずだ。 農民は土地を貸してもらう代わりに税金を納め、その見返りとして領主は安全を確保する。 しかし、産業社会以後になると、地方の領主や地主の権力は弱まり、代わりに国家規模の主体が民衆に介入していくようになる。 その国家を支えるのは、領主(地主)、資本家、労働者とは別のカテゴリーにいる官僚であり、その官僚たちは資本家や労働者から資本を収奪し、国家を円滑に運営するための暴力装置と官僚機構を維持することが大きな役目になる。

 しかし、アフガニスタンでは国家主義も浸透していないが、暴力装置も一元化されていない。 日本はアフガニスタン中央政府の国軍と警察を唯一の暴力を行使できるアクターにするべく努力をしてきたが、最近になり、地方の部族の再武装化というものが米国によってはじめられており深刻な事態になっている。 上述した中で気がついた読者もいるかもしれないが、アフガニスタンの発展段階は、現地での人間関係を見てみると、産業社会段階よりも農業社会段階と見た方が妥当だと思われる。 それでは、我々は近代国家を目指すべく暴力装置を政府に一元化していくのだろうか。 それとも、現地の実情に合わせて、各々の封建的関係に委ねていくのだろうか。 アフガニスタン政府と国際社会はこの点について早急に決断を下さなければならない。

 博物館を見終えた後、タクシーで二道橋市場に移動し、バザールの様子を写真に収めた。 国際バザールは活気に満ちた面白い場所で、ウルムチは面白くないなんて誰が言ったんだ、と思わず叫んでしまうような喧騒と雑踏と活気がある。 ウルムチというのはアフガニスタンに優るとも劣らず文明の十字路なのだなと思った。

nuts
↑バザールの前にある乾物屋。くるみやアーモンド類を売っている。

melon
↑こちらも国際バザールの前で商売していたメロン・すいか屋さん。ここでメロンを一つ食べた。1つ3元。高いのでぼったくりかと思ったが、どこでも2元か3元だった。

bazaar
↑国際バザールの様子。

bazaar2
↑ここが国際大バザールの中心。

bazaar2
↑バザールにあるナン屋。

inside
↑バザールの建物の中の様子。

raisen
↑レーズン類を売っているお店。

knife
↑お土産用の刀剣類を売るお店。

vase
↑お土産物用の壷や食器を売るお店。

musical
↑楽器も売っている。

stone
↑色々な石や宝石を売るお店。

chairmanmao
↑毛沢東の置物や、いつのものか分からない壷などが売られている。

 色々なお店はあるが、どうしても欲しいと思う物はなかった。歩き疲れたのでレストランに入ってお昼を食べることにした。食べたお昼はポロとケバブ。食べたポロは脂っこすぎてあまり美味しくなかった。新疆ウイグル自治区の食べ物はアフガニスタンに非常に似ている。アフガニスタンにもある、パラオ、ケバブ、マントゥー、ナン等が、ほぼそのままの形であるし、メロンやザクロなどの果物類も似ている。これはやはり地理的条件によるところが大きいだろう。パミール高原を挟んで左側と右側にあるだけなので、気候も似ているし自然環境も似ている。距離的にもカブールとウルムチは飛行機で3時間の距離だ。共にイスラム教徒が多いことから言語的にも似た言葉が多くあるし、文化が近いことを感じる。

menu
↑レストランのメニュー。真中がパラオで、上にアラビア文字で「ペー+ワウ+ラーム+ワーウ」と書かれている。真中が中国語で、下がロシア語。ロシア語表記も街で見かけることからロシア方面からの移民も多い事が伺える。

polo
↑お昼に食べたポロ。人参は別で付いてきた。

kebab
↑ポロと一緒に食べたケバブ。

kebab2
↑レストランの外で準備されているケバブ。

polo2
↑ポロ。

mantu
↑かぼちゃ入りのマントゥー。

 この後は、航空券を買ってお金がなくなったので、中国銀行で更に500ドルを両替して(500ドル=3139.65元、1ドル6.28元)、写真を撮影してからホテルに戻った。 ホテルでは少し休憩してから、ホテルにあるスパで足裏マッサージをしてもらった。

 ホテルにある夕食は高いので、夜は再び国際大バザール付近に、写真撮影を兼ねて出かけた。 街は蛍光灯っぽい青白い光ではなく、暖かい黄色の明かりに照らされていて綺麗だった。

night
↑夜の国際バザール。

night2
↑モスクの横がケンタッキーというのがグローバル化の進む現代をよく表している。

night3
↑街灯に照らされた裏道。何故か好きな一枚。

mosque
↑ケンタッキーの横にあったモスクを逆側から撮ったところ。

restaurant
↑夜ごはんは比較的しっかりとしたレストランへ。内装に趣きがあっていい。

laghman
↑晩ご飯に食べたラグマン。ここのラグマンは讃岐うどんのように麺がしこしこでうまかった!

mantu
↑ラグマンと一緒に頼んだマントゥー。中は羊肉で黒酢をかけて食べる。

nightview
↑夜の国際大バザール。

oden
↑夜店が並ぶ通りをひやかす。これはウイグル版おでんみたいなものか。

shop
↑ケバブ屋さん。

sheep
↑羊の頭。グロテスク・・・。

grill
↑鶏の丸焼きと、羊の丸焼き。

melon
↑屋台にあった物はすべて衛生面が気になったので食べなかったが、メロンだけは栄養補給に食べた。




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