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■旅行記

トルコ旅行記

プロローグ

 アフガニスタンもトルコのような国になれたかもしれないな、とイスタンブールの街並みを車窓から眺めながら思っていた。 11月中旬のイスタンブールの気候は日本の中秋くらいの肌寒さで、紅葉をした並木道の樹木が美しく、東欧の風景を思い起こさせる。 石畳がひかれた道路と、道端までせり出したレストランやオープンテラスのカフェが滋味溢れていて情緒深い。 アフガニスタンも、歴史と現代性が入り混じり経済的に発展したトルコのような国になれたかもしれなかった。もし戦争さえなければ。

 二つの国にはいくつかの共通点がある。一つは、どちらも多くの国に囲まれているクロスロード・カントリーだという事だ。 アフガニスタンは、イラン・パキスタン・中国・タジキスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタンの六カ国に囲まれている内陸国だ。 トルコは内陸国でこそないが、ギリシャ・ブルガリア・イラン・イラク・シリア・アゼルバイジャン・アルメニア・グルジアの八カ国に 国境を接する文明の通り道で、アフガニスタンと似た境遇を彷彿とさせる。二つ目には、どちらもイスラム教国であるという共通点がある。 三つ目には重層的な歴史が挙げられるだろう。 アフガニスタンには、アレクサンダー大王も仏教もチンギス・ハーンもイスラム教もイギリスもソ連もアメリカも訪れた。 他方でトルコには、キリスト教もイスラム教もアレクサンダー大王もヘレニズム文化も第一次世界大戦も訪れた。 この他にも多民族性や風習や文化や言語などで、共通点がみつけられる。

 歴史と現代性が入り混じり、異なる文化同士が美しく共存しているトルコのようにアフガニスタンもいつかなれるはずだ。 そう思いながら、ノスタルジーとデジャブを思い起こさせるイスタンブールという街で過ごした4泊5日の旅について書いてみたい。


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↑イスラム教のモスクに飾られる、キリスト教の宗教画(アヤソフィアにて)



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